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『火の粉』(原作)ネタバレ感想②

こんにちは。

前回の記事、『火の粉』の小説のネタバレ感想の続きです。

 

strbcs.hatenablog.com

 

火の粉

火の粉

 

 

 

 

 

 

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(以下、ネタバレです。)

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『火の粉』には2つの吸引力がある、という話でしたね。

もう1つの吸引力は、私たちが普段から色々な物事に感じていう「怒り」です。
思えば、この小説には様々な理不尽さがちりばめられており、読者の怒りを誘発するようにできています。そしてそれを原動力に物語は爆発力を得て推進していきます。
例えば、雪見の娘に汚い言葉を教えて平然としているヤンキーママ。
尋恵の介護疲れや、それに対する小姑の心ない言葉。(遺産分配のシーンなんて、尋恵が可哀想すぎて泣きそうになります。)
裁判官という、人を裁く立場にありながら、自分自身では決して責任を負おうとしない勲の態度(どこか公権力の象徴のようにも見えます)。

こうした、物語の本質とは無関係のところで様々な理不尽さが散りばめられており、そのどれもが、私たちがまさに生きていく上で出会う、リアルな理不尽さなのです。
そうした理不尽さに対する怒りから、なんとか全てが無事に決着するシーンを、悪者が懲らしめられ正当な弱者が救われるシーンをこの目で見なければ気が済まない!という気持ちで読者としては先を読み進めざるを得ません。

しかし、ここで面白いのが、それらの理不尽さの大半が物語の本筋とほぼ無関係で、別に最後まで読み進めたところでほぼ何も救われはしないのです。(勲の態度だけは物語の核心に関わっており、きちんと決着されますが)このように、物語と無関係な、いわば社会的な怒りを推進力とする小説って私はあまり読んだことがなかったので、とても新鮮でした。


そして、これこそが、感想を言い合いたくなる最大の理由です。笑
あの後、ちゃんと俊郎は雪見に謝ったのか?
尋恵に対して小姑は謝ったのか??
そのために勲はきちんと両者と向き合って場をしつらえたのか???
そういったことをまったく描いてくれていないのです。
そのカタルシス目当てえ読み進めていたのに・・・!!

ただ、とはいえ物語の吸引力は凄まじかったですし、夢中で読める作品でした。
読んだことのある方は是非感想を言い合いましょう。

 

以上、『火の粉』のネタバレ感想でした。