『屍人荘の殺人』ネタバレ感想・考察
また、実は『屍人荘の殺人』には因縁があるのです・・。
というのも、昨年11月に行ってまいりました上智大学の学園祭。
そこのミステリー研究会で会員の方に活動内容をお聞きした際に、会員の方がこんなことを話してくれたんです。
「ミステリースポットに行ったりもしますし、推理小説を書いたりします。」
なんと、研究するだけでなく自らミステリーを生み出してしまっているんですね。
「会員の一人は各ミステリー賞のファイナリストの常連で、今回も最終選考まで残ったんですが落選してしまいました。
その時に受賞したのが『屍人荘の殺人』で、その会員は読んでみたところ『悔しいけど面白い』と言っていました」
そうなのです。
『屍人荘の殺人』は、我々が訪れた上智大学ミステリー研究会の会員の方が最終選考まで残ったミステリー賞で大賞をかっさらった作品!
因縁を感じざるを得ませんね!(もはや無関係)
というわけで、ここからネタバレ感想と考察!
※ガッツリネタバレありますので、ご注意ください※
敬称略で失礼します!
感想・考察の前に、ちょっと一言
普通だとネタバレ感想の前に、ネタバレにならない程度に感想を言ったりするんですが、この映画でネタバレにならない感想って何かありますかね??
例えば・・・
ええ・・・
ジャンル紹介するだけでネタバレになるって・・
というか、中村倫也は超序盤にフェードアウトするんですけど、予告編ではバリバリ活躍してたような・・・
そう思って予告編を見直してみました。
うん、編集の力ってすごい。
プロローグ的な序盤のエピソードにおける中村倫也のほぼすべてのセリフが、まるで屍人荘での殺人事件に対するセリフかのように編集されまくっていました。
ここまで潔いと脱帽するしかないですね。
さて、予想と違うテイストだったことはこの辺にして、肝心の面白さについて!
全体の感想
俳優陣は全員素晴らしかったですし、テンポも良かったですし、個人的には充分満足できました。
思わず語りたくなる俳優陣
なんといっても、俳優陣が素晴らしかったですね!
まず神木隆之介。
演技力はもはや言わずもがな!ですが、こういうちょっとオタッキーな役をやらせるとさらにドハマりしますね!
『桐島、部活やめるってよ』の演技を彷彿とさせます。
続いて、浜辺美波と山田杏奈がとにかく可愛かった。
どちらも非常に可愛いんですが、その中でも浜辺美波は、もはや別格に素晴らしいですね。
この映画は漫画原作ではないですが、浜辺美波は漫画特有のわざとらしいコミカルな感じの映画を実写でできる、稀有な種類の可愛さをもっている女優だと思います。
ドランクドラゴンの塚地も、やっぱりこういう役やらせたらうまいですね!
本当に殴りたくなる(笑)
この人については個人的に、『アウトレイジ』で観た「かわいそうな下っ端役」のイメージしかなかったので、今回のような偉そうな御曹司役の演技にはかなりびっくりしました。
でもさすがは演技派。しっかりと嫌らしさを出していました。(笑)あと、ある意味ギャップに驚いたのが古川雄輝。
私はこの方、実は誰なのか分からないまま観ていました。
観賞中ずっと「どっかで観たことあるんだけどなー。なんの役だったっけなー」と思っていました。
そのくらいギャップのある役だったんですね。
この方、『天 天和通りの快男児』のヒロユキ役だったんですね!
(もちろん他の作品にもたくさん出演されていると思いますが、あくまで私が今までみたことある作品の中で)
いやー、当時ヒロユキを見た時は、「なんっってイケメンなんだ!」と、そのあまりの顔の美しさにびっくりしましたが、まさかこんなゲスな役をやっているとは夢にも思わず、役者さんって演技によって全く別人に見えるんだなー、と驚きました。
新境地のミステリーとテンポの良いストーリー
テンポも良いし、何よりミステリーとして新境地!という感じです。
というのも、ミステリーってずいぶん前からネタ切れが叫ばれて久しいですよね。
たいていのネタは誰かによって書かれてしまっているわけです。
そんな中、「新境地」といって誰もが納得するミステリーをつくったわけですから、この作品はそれだけでも秀逸と言えると思います。
しかも、動きが少なくなりがちな洋館物のミステリーをテンポよく描き切ったところにも好感が持てますし、グロテスクになりがちなゾンビ物を、レントゲンチックな描写でグロ要素を抑えめにした点も非常に良いと思います。
ただ、ちょっと・・・
まず、犯人が分かりやすすぎる。
中村倫也があんなに意味ありげな「これから起こる事件の犯人が分かった」というセリフを言ってしまった以上、それまでの部分に決定的な手掛かりがある、というのは観客にとっては明らかなわけじゃないですか。
そして、現代人にとって必須アイテムであるスマホ。
ホーム画面をロックしないで使っている人なんていないですよね。
なので、山田杏奈の落としたスマホを柄本時生が拾ったシーンをみて、100人中200人くらいは違和感を持ったことでしょう。(100%越えてるゥ!)
そうすると、中村倫也の意味ありげなセリフと、上記のスマホのシーンの違和感が結びつくのはもはや必然で、おそらく100人中95人くらいは中村倫也のセリフの時点で犯人が分かったんではないでしょうか。
それに、「いただきます」「ごちそうさま」の紙。
これって、露骨に「いただきます」の紙の方が先に書かれた・おかれたとミスリードしようとしていますよね。
とすると、真実はその逆で、「いただきます」の紙が置かれたのは「ごちそうさま」の後。
つまり、犯人が扉の外で「ごちそうさま」の紙を扉の隙間に挟んでから、その後、死体発見時に「いただきます」の紙を配置したことは誰の目にも明らかなわけです。
少なくとも「金田一少年の事件簿」を読んで育った世代は、この手のトリックは幾度となく読んできましたからね!
まとめ
ですが、万人にお勧めできるかといったらちょっとあやしいですね。
以上、『屍人荘の殺人』ネタバレ感想・考察でした!
原作ではどんなふうに書かれているのかしら。
ちょっと気になりますね!